春土用は白い食材を
昨年、春土用に「戌(いぬ)」にちなんで「い」のつく食べ物や「白い」食材を食べると良いことをご紹介した際に大根おろしとしらす(イワシの稚魚)の組み合わせを激推ししました。
この時期、北海道内で楽しみにされている山菜(?)の一つに、白い食材があるのをご存じでしょうか?
それは「山わさび」です。
山わさびの旬の時期は12月~4月頃のようですが、山に自生した山わさびを採取する際は雪どけ後の3月後半~4月が良い時期となります。
山わさびとは?
山わさびは北海道の人にとってはポピュラーな食材ですが、内地では一般的にはあまり聞きなじみがない食材かもしれません。
一般的には「西洋わさび(ホースラディッシュ)」と呼ばれ、肉料理に利用されることの多い食材です。
日本で一般的なわさび(山葵)が水の流れのある場所で育つのに対して、土に植えられた状態で育つことから「山わさび」と呼ばれます。
山わさびは原産地はフィンランドから東ヨーロッパとされ日本には明治時代に伝わってきました。
札幌名産の貴重な「山わさび」は、本わさびよりクセになる!? – macaroni
日本では加工わさびの原料として、以前は、長野県、埼玉県、北海道で栽培されていましたが、現在では北海道が主な産地になっています。
西洋わさびの産地、歴史、栽培について|「金印」のわさび
山わさびにとって北海道は気候が合っており、生命力が強いことから道内の山で自生しているようです。
また、根っこの一部を植えるだけで簡単に根付き、ほったらかしでも育つことから、庭で栽培して楽しむ方も多いようです。
道内ではそのツーンとくる刺激を含めて一般的なわさびよりも好む人も多く、かの有名な道内コンビニ「セイコーマート」が自社ブランドで「山わさび塩ラーメン」や「山わさび塩焼きそば」などを販売して一時期話題になったこともありました。
山わさびを食べたことない人、少ない説
北海道以外にお住まいの方は、山わさびって食べたことないな~と思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも実際には「食べたことない」という方は意外と少ないはずです。
「山わさび」と認識して食べてないだけなのです。
一般的に販売されているチューブのわさびの商品名には「本わさび」と「生わさび」と書かれたものがあります。
両方を表現するために「本生 本わさび」という商品名のものも見かけますよね。
「本わさび」と「生わさび」、以下のような使い分けをされているのだそうです。
市販の商品に表記されている「生わさび」と「本わさび」には、それぞれ別の意味合いがあります。
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- 生わさび…すりおろしたわさびのこと(加工方法を指す)
- 本わさび…日本原産のわさびのこと(種類を指す)
また、「本わさび」という商品についても「本わさび使用」と「本わさび入り」という2種類の表記があるようです。
原料となる本わさびに関する表記方法は、「本わさび入り(原料中50%未満)」「本わさび使用(原料中50%以上)」となっており、主に西洋わさび(わさび大根)と混ぜあわせた割合を示しています。
知ってる? S&B「本生 本わさび」で使用するわさびは、本わさび100%(※)なんだって(※)原料わさび中の割合 | S&B「本生シリーズ」最香の贅沢 特設サイト | S&B エスビー食品株式会社
そんな中、S&B「本生 本わさび」は本わさび100%を実現し、辛味や風味に徹底的にこだわっているんです。これは、日本発の香辛料「わさび」を独自に進化させた、こだわりの自信作といえるでしょう。
市販されているチューブタイプのわさびで「本わさび100%」と記載のないものについては、西洋わさび、つまりは「山わさび」がブレンドされているということになります。
「本わさび100%しか食べない」とか「わさびはチューブではなく、本わさびを鮫皮おろしで自らすりおろして食べる」というこだわりのある方でなければ、きっと意識しないまま「山わさび」を口にしている可能性は高いでしょう。
西洋わさびは本わさびの劣化版なのか?
先述の通りチューブタイプや小袋に入ったものなどの市販のわさびは、基本的には本わさびに比べて西洋わさびの方が安価なため、西洋わさびをベースに本わさびや本わさびの加工品を加えて香りなどを本わさびに寄せたものが多くなります。
そう聞くと、西洋わさびは本わさびの劣化版なのかとも思えてしまいますが、お刺身に添える小袋タイプのわさびについて放送したテレビ番組内では、こだわりの商品に使用する本わさびにあえて西洋わさびをブレンドしていることが紹介されていました。
西洋わさびの辛み成分は本わさびの約1.5倍。金印わさびでは小袋を開封し、すぐに辛みを感じることができるように、あえて本わさびに西洋わさびを混ぜている。西洋わさびをブレンドすることによって、本わさびの香りや風味がさらに引き立つのだ。
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本わさびのような香りは少ないがつんとくる刺激がクセになる「西洋わさび(山わさび)」。
時間がたってしまうと香りや辛みが失われてしまいがちなわさびの刺激を保持するために一役買っているのです。
実際、ネット上には春に山わさびを掘ってきて楽しむ山わさび好きの方のブログなどが多く見られ、そばの薬味には本わさびよりも山わさびが良いということをおっしゃっている方もちらほら見かけました。
チューブタイプの山わさび
いつだったか、スーパーで「山わさび」のチューブタイプを見かけて「へぇ!チューブの山わさびがあるんだ~!」と思った記憶があったので検索してみたところ、ハウス食品とエスビー食品から販売されているのを見かけました。
メーカーサイト内で見る限り、通常のいわゆる「わさび」にブレンドされている西洋わさびは海外産のものが多いのですが「山わさび」として販売されている商品は、どちらの会社も「北海道産」にこだわっているようです。
ハウス食品に関しては「ホースラディッシュ(西洋わさび)」という原材料的には「山わさび」と同じはずの商品もありますが、こちらについては現時点で確認する限り中国産の西洋わさびを使用しています。
「ホースラディッシュ」という商品には中国産西洋わさびを使用し、「山わさび」という商品には北海道産西洋わさびを使用しているあたり、「山わさび」を求めるであろう客層へのアプローチに配慮が感じられて興味深いです。
エスビー食品の「きざみ山わさび」については、パッケージ横の使用例にしっかりと「そばの薬味に」と載っていますし、そばの薬味に「山わさび」を好む方は多いようです。
今年の春土用の推し行事食は、旬の「白い」山わさびの薬味を添えたそばで決まりですね♪
チューブタイプで試してみて気に入ったら、通販などを利用して真空パックした本格的なものをお求めになるのもよいですね!