食欲の無いときに食べがちな麺といえば?
年々とどまるところを知らない夏の暑さ。
北海道の夏はさらりとした過ごしやすい夏だという常識はもはや過去のものと言っても過言ではなさそうです。
8月に入り、そろそろ夏の暑さによって蓄積された体調不良、いわゆる「夏バテ」を感じる方も多いかと思います。
夏バテは食欲不振、疲労感、集中力の低下など、日常生活に大きな影響を及ぼします。
そんなとき、なんとなく食事は少量をサラッと済ませるだけでいいや…と思ってしまうこと、ありますよね。
夏の食欲のないときにサラッと食べる冷たい麺といえば、中でも「そうめん」と「そば」が市民権を得ている印象があります。
食欲の無いときには、細いそうめんならなんとか喉を通すことができる時もあります。
冷たいつゆをつけてツルッとすすった時のほんのり香るそばの香りが、かろうじて食欲を鼓舞してくれるという方もいらっしゃいます。
今回は、食欲の無いときに食べがちな夏の二大麺「そうめん」と「そば」の栄養素を比較してみたいと思います。
結論を先に言っちゃうと、実は「夏バテ」には「そば」の方が栄養素的に良い傾向にあります。
気になる方は最後まで見ていってくださいね!
栄養素のデータについて
通常、栄養素などは100gあたりで比較したり原料(そば粉や小麦)で比較することが多いのですが、より実感としてわかりやすいデータにしたいと思ったので、下記のデータを参照させていただきました。
- そば(1束)を茹でたもの(ゆで上がり時の重量260g)
- そうめん(1束)を茹でたもの(ゆで上がり時の重量270g)
また、栄養素のデータは「一食あたりの目安」を基準として、「(一食分の)そば」または「(一食分の)そうめん」を食したときに各栄養素をどのくらいの割合で取り入れられるかがグラフになっています。
(参照元:カロリーSlism – 栄養成分/カロリー計算)
夏に不足しがちな栄養素 – ミネラル
夏バテの原因の一つでもある暑さによる発汗。
汗と一緒に体内のナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛などのミネラルが流れ出てしまいます。
水分の補給と一緒に少量の塩分をとることが良いということはよく聞かれるようになりました。
しかし本来は、塩分(ナトリウム)だけ補給すればよいわけでなく、細胞の機能を整えるマグネシウムやカリウム、亜鉛なども十分に補給する必要があります。
一方、塩分(ナトリウム)は、現在のような食生活であれば不足することは少なく、その他のミネラル、とりわけマグネシウムの不足が夏バテの原因であるという医療機関の記事もあります。
(中略)
“夏バテ”は、細胞内マグネシウム欠乏である | 河村循環器病クリニック
確かに こまめな水分摂取は脱水予防になり、熱中症予防になります。同時に発汗によりナトリウム、マグネシウムなどミネラルも失われます。
日頃の食生活で塩分摂取過多になっており、夏場の発汗は身体から過剰な塩分(Nacl)を取り除く絶好の機会となります。マスコミで報道されているような塩分不足にはなりません。問題なのはマグネシウム不足の方です。
短期的では、マグネシウムが入っていない水分摂取は、脱水予防にはなりますが、マグネシウム不足によりケイレンが起こります。テニスプレー中のケイレン、陸上選手のケイレンなどはその例です。
(中略)
睡眠中にこむら返りになった時って夏が多かった印象がありますが、けっこう関係あるのかも…。
そこで登場するのが、そばです!
そばはマグネシウムを非常に豊富に含んだ食品です。
そうめんとの比較では、ダントツに差が開く栄養素です。
(中略)
マグネシウムが不足すると、集中力や記憶力の低下、こむら返りなどの筋肉のけいれんが起こることがあります。また、直接的な原因が分かりにくい不調としては、疲労感、倦怠感、食欲不振、気分の落ち込み、イライラ、頭痛、不眠、不整脈などが知られています。
長期にわたりマグネシウム不足が続いた場合は、骨粗鬆症や高血圧、心筋梗塞、動脈硬化などのリスクが高まることが様々な研究により示唆されています。アルコールの過剰摂取や利尿剤の長期服用、精神的ストレスなどによっても体内から排出されるマグネシウムの量が増え、不足を招いてしまいやすいので注意が必要です。一方、マグネシウムは多く摂っても腸管からの吸収量が調整されるため、通常の食事では摂り過ぎによる問題はまず起こりません。ただし、サプリメントや医薬品などで過剰に摂取した場合、下痢や軟便を引き起こすことがあります。マグネシウムは、緩下剤としても利用されています。
(中略)
マグネシウムの食事摂取基準は、推奨量が下記のように設定されていますが、現状では男女共にこの数値を満たしておらず、50~100㎎のマグネシウムが毎日不足していると考えられています。
(中略)
特に、ストレスの多い人、肉、加工食品、アルコールを多く摂る人、生活習慣病や骨粗鬆症を予防したい人は、積極的な摂取をおすすめします。
(中略)●マグネシウムの1日の食事摂取基準(推奨量)
男性
18~29歳:340㎎
30~64歳:370㎎
65~74歳:350㎎
75歳以上:320㎎女性
18~29歳:270㎎
30~64歳:290㎎
65~74歳:280㎎
75歳以上:260㎎●耐容上限量(※)
マグネシウムとは?必須ミネラルの1つで、骨の形成や心臓、神経の働きに深くかかわる
成人:350㎎
※サプリメントおよび薬に含まれるマグネシウムの上限量です。一般的な食品からの上限量は設定されていません。
マグネシウム以外のミネラルの比較は、下記のような違いがありました。
カリウムや亜鉛、カルシウムあたりは、トッピングで補うとよさそうですね。
カリウムは海藻類、ほうれん草、たけのこ、野菜・果物、ナッツ類、イモ類、豆類、きのこ類に多く含まれます。
海藻類やキノコなどはトッピングとして取り入れやすそうです。
亜鉛は牡蠣、ウナギ、スルメなどの魚介類や、レバー、牛やラムの赤身肉、そら豆、カシューナッツなどに多く含まれています。
卵や豆腐、納豆なども良いようですので、月見そばや納豆そばなどもよさそうです。
カルシウムは乳製品、小魚、干しエビなどの魚介類、大根の葉や小松菜などの葉物野菜、大豆製品、海藻類などに多く含まれます。
桜エビやしらすなどは取り入れやすいですね。サバ缶とトマトなどで冷製パスタ風のそばにするのもおいしそうです。
夏に不足しがちな栄養素 – ビタミンB1、ビタミンC
糖質の分解を助けるビタミンB1は、暑さによってエネルギー消費が増えるため不足しがちです。
冒頭の話にも関係しますが、夏の暑さで疲れて麺類だけでサラッと済ませてしまうことの多い食事の場合、糖質に偏りがち。
また、清涼飲料水などの糖分の含まれた飲み物を多く摂りがちな夏は、ビタミンB1がフル回転!
糖質を多く摂取すればするほどビタミンB1が使用され、不足しやすくなってしまいます。
そんな中でそばは、自らその燃料であるビタミンB1を持参する点がやや優秀とも言えます。
一方で、ビタミンCに関しては両者引き分け。
どちらも栄養素としては含んでいないため、トッピングでカバーするのがベストです。
ビタミンCは、ストレスを軽減するホルモンを合成する働きがあります。暑さや疲労を感じると、副腎からストレスを軽減するためのホルモンが多く分泌されますが、この時にビタミンCが大量に消費されるので、ストレスが多いとビタミンCが不足してしまいます。
夏こそビタミン補給~夏場の疲労感を予防するには、ビタミン摂取を意識した食生活を~ 産業医・産業保健師のご紹介│株式会社ロムラボ
ビタミンCは体内で合成できないので、汗として排出されることが多くなる蒸し暑い夏の時期は、よりいっそう毎日の食事から摂ることが大切です。
ビタミンCはたんぱく質と一緒に摂ることで体細胞をつないでいるコラーゲンを作り、さらに免疫力も高めるそうなので、
納豆と大根おろしなどをトッピングしたおろし納豆そば/そうめんなどがオススメ。
大葉をプラスしてビタミンC効果を追加するとさらに良いですね。
そばは腸活にもピッタリ
そばは他の麺類と比べて食物繊維を豊富に含んでいることで知られています。
そばの全層粉(内層粉、中層粉、表層粉と分けずに全て一緒に挽いたそば粉のことで、別名「挽きぐるみ」)や、さらに田舎そばのように表層粉(三番粉)を使用した黒っぽく風味の強い、粗い食感のそばになればなるほど食物繊維の含有量が増え、1食分の食物繊維を超える量を摂ることができます。
つなぎが多いとその効果は半減してしまいますので、食物繊維を摂りたい場合は十割そばを選ぶのがオススメ。
食物繊維は腸内環境を整え、便秘の予防や改善に役立ちます。
また、血糖値の上昇を緩やかにする効果もあり、心臓病や糖尿病のリスクを低減する可能性があるなど、そばは夏バテの対策に限らず主食として積極的に選びたい食材の一つですね。
夏バテ対策には、栄養バランスが良く食べやすいそばが最適です。
冷たいそばにお好みのトッピングで食欲を増進させ、必要な栄養をしっかりと摂取しましょう。
夏の暑さに負けず元気に過ごせるよう、ぜひそばを取り入れてみてくださいね!