世界にもある!年末年始の特別な食事

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

本記事のアップは1月1日。皆様、おせちを召し上がっている頃かと思います。
あ、すみません!おせちについては、我ら(道民)は一足先にいただいてしまっています(笑)

北海道では大晦日の夜から食べ始めるのが一般的です。

そうそう、大晦日に年越しそばはちゃんとお召し上がりになりましたか?
年越しそばについては過去の記事でも触れたとおり、一年の災厄を断ち切ったり、無病息災や金運アップを願って食べられる日本ではとても広く知られた食の風習です。
一般的に年越しそばは、年をまたいで食べたり、食べ残したりすると縁起が悪いと言い伝えられているので、年が明ける前に食べきるのが良いとされています。

このような年越しの特別な習慣は世界にもいろいろあり、共通点などもあって面白かったので、いくつかご紹介します。

スペイン「12粒のぶどう」

スペイン(一部の中南米の国を含む)では、大晦日に12粒のブドウを食べるという「ドセ・ウヴァス(Doce uvas/12粒のブドウ)」と呼ばれる習慣があるそうです。

プエルタ・デル・ソル広場 - エミリオ・J・ロドリゲス・ポサダ, CC BY-SA 3.0 http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/, ウィキメディア・コモンズ経由

12粒のブドウとは、大晦日にマドリードにあるプエルタ・デル・ソル広場の時計の鐘の音に合わせてブドウを12粒食べるという習慣です。
この時計の鐘の音はテレビ中継されるため、直接広場に行く人だけでなく、自宅で集まった家族とともにテレビの前に集まって12時の鐘の音に合わせて、1粒ずつブドウを食べます。
12粒は12か月を表していて、3秒おきになる12回の鐘の音に合わせてブドウを食べ切ると願い事が叶うとされています。

このとき使われるブドウは、アレド種の実の白い品種がほとんどだったようで、これはマスカットよりも小粒で、種がたっぷりと入っているため、3秒で一粒を皮と種を吐き出しながら食べるのは至難の業だったようです。
近年では、種なしで皮の薄い食べやすいブドウも売られるようになって鐘の音のなっている間に食べきることができる人も増えたようですが、種なし皮なしの食べやすいブドウは人気が高く、大晦日当日には売り切れることもあるようです。
そのため、12時になる前に皮と種を取り除いておくなど、しっかり準備する方もいらっしゃるようですね。
幸運のためには努力も必要、ということなのかも!

鐘が鳴り終わる前に食べきらなくてはいけないスペインのブドウ。年越しそばの「年が明ける前に食べきる」という点にもちょっと似ていますね。
しかも、スペインでテレビ中継される「時計の鐘の音」。
日本の大晦日にNHK「ゆく年くる年」で中継される除夜の鐘にとっても良く似ています。
なんとなく節分の年の数だけ食べる豆みたいな雰囲気もちょっとあって、我々日本人にとっては妙に親近感がある風習だな~と思いました。

イタリア「コテキーノ(ザンポーネ)とレンズ豆」

先ほどは、年越しそばと共通点が感じられるスペインのブドウを紹介しましたが、一方で同じ地中海に面した近隣の国イタリアではおせち料理に似た食習慣があるようです。

それは、コテキーノやザンポーネと呼ばれる、豚肉で作る太めのソーセージ。
コテキーノは腸に、ザンポーネは豚足に、塩とスパイスを混ぜ込んだ豚肉のミンチを詰めたソーセージのことです。
そしてこれらには必ず煮込んだレンズ豆が添えられます。レンズ豆がコインのような形をしているので、金運アップの願いを込めるのだそうです。

3種類のレンズ豆

験担ぎの観点でいえば、日本のおせち料理でいうところの栗きんとんや金柑の甘露煮に共通する願いですね。
食材は豆ですが、さすがにイタリアでは「”マメ”に暮らす」という語呂は通じないので、無病息災の役割はなさそうです(笑)

いろいろ調べていて、あれ?と思ったのはこの料理を食べるタイミング。

イタリアの友人達ももれなく子供の頃からお正月にいただくとのこと。
旅先で出会ったイタリア人のおじいちゃんにザンポーネについて聞いたところ子供の頃からお正月はザンポーネと決まっているそうで大好きな料理だそうです。「お正月の朝は茹でる香りが家中に漂っていてその香りがたまらないよ!」とそれは嬉しそうに話してくれました。

【レシピ】イタリアの新年料理、コテキーノの作り方

イタリアは伝統的に「コテキーノ(またはザンポーネ)のレンズ豆」添えを、深夜12時のカウントダウンを待ちながらいただきます。このお料理こそが、イタリアでの「年越しそば」的な存在なのです。

コテキーノのレンズ豆添えレシピ! [イタリアンの基本] All About

お正月の朝にザンポーネを茹でる香りが漂ってきた思い出を語っているおじいちゃんのお話は、日本で言えばさながらお雑煮の出汁の香りが漂ってきたかのような雰囲気。
一方では、新年のカウントダウンを待ちながら夜に食べる「年越しそば」的であるという紹介もありました。
この食べるタイミングの違いについては、内地と北海道で食べるタイミングが違う「おせち」とも近い印象です。
イタリアの例が地域性に影響されているものかどうかは分かりませんが、新年を迎える時に験担ぎとして食べる風習という大まかなくくりにおいてはどちらも似ていると思いました。

他にもいろいろ

その他の国にもいろいろな幸運を願う食習慣がありました。
少しだけ軽く紹介します。

アメリカ南部では大晦日にトウモロコシの粉を使って焼いたパン「コーンブレッド」を食べる習慣があるそうです。
黄色いコーンが金のように見えることから繁栄・成功を願って食べられているようです。

フィリピンではお正月に丸いものを食べると縁起がいいとされています。
丸いものはお金や幸せの象徴とされており、身に付けたり飾ったりすることで金運がアップして幸せがやってくると解釈されています。

トルコではザクロ自体の薬効成分と相まって、幸運を呼ぶ食べ物だと考えられています。
鮮やかな赤色は心臓を意味し、命と子宝に恵まれるとされています。ザクロの中の豊富な赤い種は、豊作、繁栄、成功を表します。

やはり新しい年のスタートというのは世界中どこでも大切な節目なんですね。
新しい年に幸せを祈る気持ちは国や言語が違っても同じなのだなぁとしみじみ感じました。

世界中の誰もが新しい年の幸せを祈りながら料理を囲めますように

2022年のロシア・ウクライナ戦争、そして2023年には新たにパレスチナ・イスラエル戦争が始まりました。
これらの国で起こっている幸せとはほど遠い悲しい現実も、連日ニュースで報道されています。
一番幸せを願いたいであろう現地の人々は、毎年家族で囲んで食べていた年越しやお正月の特別な食事を用意することすら叶わないのかと思うと胸の奥がギュッと締め付けられる感じになります。

早く世界中の誰もが新しい年の幸せを祈りながらお国の料理を囲める世の中になりますように。

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